文化服装学院 ファッション流通科2年 リテールプランニングコースの学生が運営するブランド”clarity blue”

『明瞭な青』という意味を持ち、地球や海を連想させるブランド名。コンセプトは”スピリチュアルとアートをテーマに、透明な存在であるファッションというカテゴリーに囚われず、空間的な存在であること目的としている。

10周年を迎え、3年ぶりの実店舗での開催となるRE・TENTを追いかけるべく、このブランドの密着取材を行いました。他では見られないRE・TENTの裏側を掲載しています。最後までお読みいただけると幸いです。

clarity blue

[site] https://clarityblue0.base.shop/11月15日まで販売中

[Instagram] https://www.instagram.com/clarityblue_online/

9月

9月下旬、私たちプロモーションコースによる” Clarity Blue”の密着取材が始まった。作り上げたい世界観や届けたい想いが明確で、芯の詰まったこのブランドの密着をしたいと思い、企画をスタートさせた。

ブランドの顔となるビジュアル撮影や商品展開などの土台がしっかりしている状況で迎えた密着初日。最終段階である確認作業や投稿作業の方を各々進めていた。ひとりひとりが自分自身の役割をしっかり把握しているようで、楽しそうに笑いあいつつも、無駄な時間が流れている様子がまるでなかった。

その中でも際立って感じたのは、取材班から見てもわかる、店長フウキに対するメンバーの信頼感の大きさだ。報・連・相が自然とできている環境、とても良い雰囲気の中でPEACEに運営ができている様子に私たちも心温まる思いだった。

商品のサンプルが届いたり、インスタグラムの公開日が近づいたりと、今まで準備してきたものが形になり、大衆の目に触れ始めようとする寸前。いろんな思いが膨らみながらもメンバーの顔は輝いて見えた。

10月

10月3日

全ブランドが集まって行われる報告会。販売開始までの最終報告会だったということもあり、どのブランドも細部にまでこだわりを詰め込んだことが伝わってくる。内容が濃く、聞き応えのある報告内容であった。

その中でもClarity Blueの発表は、報告資料から全面に伝わってくる世界観とレベルの高いビジュアルで、数多くあるブランドのなかで異彩を放っていた。

スピリチュアルで言語化が難しいようなブランドイメージであるのにも関わらず、伝えたい世界観の共有が明確である点が私たちファンにもストレートにメッセージが伝わる理由なのではないだろうか。

インスタグラムでの活動が始まり、インサイトからの分析なども報告内容に含まれていた。数字に向き合って、課題点を見つける姿勢はとても頼もしく映った。

販売開始に向けてのラストスパート。プロモーションによりさらなる盛り上がりを見せてくれると確信した。

10月12日

だんだん学院全体に文化祭に関わる展示物が増え始めた10月の2週目。

文化服装学院のエントランスに全ブランドの展示が並んだ。Clarity Blueのブースでは、いち押しアイテムであるパーカーを中心に、こだわりの什器によって独特な空間が作られていた。ネックレスを置いている黄緑色のオブジェは、発泡スプレーで制作されているという。紙粘土で成形にまでこだわって作ったものだと思っていたため、発泡スプレーで偶然できたカタチであるという点にClarity Blueというブランドらしさを強く感じる。人通りが多い場所に設置された展示ブースには、多くの人が足を止め、商品を見ていた。

10月20日

発送する商品の包装や、アイロンがけを行い販売ができる状態にする作業が行われていた。業者から届いたアイテムをひとつひとつ手作業で、丁寧にラッピングをする姿に、ブランドへの愛とお客様を大切に思う誠実な気持ちが伝わる。

アクセサリーには、オリジナルのタロットカードを同封している。とても面白い発想で、お客様の元に商品が届いた時の嬉しさを何倍にも膨らます素敵な演出である。また、イメージカードも添えており、ブランドの世界観が分かるようなオリジナリティの高いデザインとなっていた。こういった細部の工夫が、Clarity Blueというブランドの完成度の高さを示していると、改めて実感した。

店長と個性あふれる様々なメンバーが仲良くふざけながら作業を進める姿は、密着している私もつい笑みを浮かべてしまうほど楽しそうな時がある。そんな中、店長のフウキが率先してメンバーに仕事を振り、チームとしてのバランスを保っている。このバランス感覚のよさがClarity Blueの最大の強みなのだろう。

10月24日

遂にRE・TENTの設営がはじまった。コロナ禍以降、初の有観客の文化祭ということもあり、運営陣のやる気や期待の念が伝わってくるようなクオリティの高い内装だった。商品の配置はブランドごとに固定されているが、その定められた空間で、どう自分たちの世界観を表現していくのかを模索していた。

VMDのテーマは惑星。ロビー展示の際に使用していた雲のオブジェ、教室の廃棄物として置いてあった針金の塊を再利用し、VMD担当のカンナを中心にみるみると空間が作り上げられ、他のブランドからも購入先を質問されるほど注目されていた。

そして、メンバーに意気込みを尋ねると、みんな口を揃えて「チームメイトへの感謝の気持ち」を語った。お客様に楽しんでいただくことはもちろんだが、このブランドの魅力は、やはりメンバーそれぞれがお互いをリスペクトし合っていることだと感じた。

本格的に準備に入り、毎日夜遅くまで学校に残り、忙しそうなリテールプランニングコースの学生。Clarity Blueのチームメンバーは忙しそうにしつつも、和気あいあいとした雰囲気でスムーズに作業を進めていた。完成したショップのビジュアルはブランドの世界観が存分に込められた空間になっていてテント内でも独特の存在感を放っていた。

そして、販売開始日の深夜24時から始まったBASEでのオンライン販売では、たった数時間で売り切れ商品が相次ぐほどの人気を集めた。その中でも跳ぶように売れたのがアクセサリーだ。次の日の午前中には9つあるアクセサリーのアイテムの内、5つのアイテムがオンラインでは売り切れとなり、その人気の高さに驚かされた。

Clarity Blueの作る世界観は未来的でありながら、どこかセンチメンタルで多くの人を魅了するカリスマ性があるのだろう。

文化祭当日

空が気持ちよく晴れ渡る今日は11月3日文化の日、そして文化服装学院の3日間にわたる文化祭初日。外部から来場者が来るこの3日間に全てのブランドが注ぐ熱を感じた。RE・TENTの外には初日から長蛇の列ができ、多くの人で賑わいを見せた。

そんな中、Clarity Blueはオンラインだけでなく、店頭での人気も凄まじく、足を止める人をたくさん目の当たりにした。


文化祭2日目からテント入口正面の大きなスペースで展示をすることができるようになったと聞き、楽しみにテントへ足を運ぶと、そこには息を呑むほど綺麗な世界が広がっていた。大きな雲のオブジェが立ち、宇宙を連想させるディスプレイ。モニターには、メンバーが制作したブランドの世界観をより具現化したバーチャル空間が広がり、私を含む会場に居る多くの人を魅了した。

3日間の実店舗販売で目標としていた、国籍・性別・年齢など何にも囚われることのなく、多くの人々に刺さるようなブランドにしたいという願いがまさに目の前で叶い、メンバーそれぞれが手応えと喜びを感じていた。

多大なる実績を残したClarityBlueのメンバー、これからの活躍には期待が絶えないだろう。

RE・TENTの期間中、いろいろな人のSNSアカウントで、Clarity Blueのアイテムを見かけました。存在感があり、コンセプチュアルなデザインは若い人々の心をつかんで離さない魅力があるのだと思います。密着をさせていただいたブランド以外にも数多くの素晴らしいブランドがありました。新たなカルチャーの担い手として、これからのファッション業界を盛り上げていく存在が我々の世代から生まれることを切に願っています。

text&photo by 森山 愛理・深澤 雛樹・簑島 かなで

終わりに