ヒルマ・アフ・クリントの見せる精神世界

たまにはスピリチュアルな想いに浸ってみたいと思った朝、私は東京国立近代美術館に足を運ぶことにしました。事前にヒルマ・アフ・クリント展が行われていることを知っていた私は精神世界について予習をして訪れましたが、そこには想像を絶する「スピリチュアル」が存在していました。

この展示の内容を記す前にヒルマ・アフ・クリントについて少し説明します。ヒルマ・アフ・クリントは1862年に生まれたスウェーデンを代表する画家で、スウェーデン王立美術院で学んでいましたが、妹を亡くしたことで霊的世界や神智学に没頭します。その後、同じ思想を持った女性画家達とともに「5人(De Fem)」を結成しました。そこでの活動が評価され、20世紀初頭に抽象絵画の先駆けとして高く評価されることとなりました。

では、今回の展示に目を向けていきます。展示室に入ってすぐ目に入ったのは写実的な素描の数々。てっきり私は、抽象画ばかり描いていると思っていたので、その写実性に驚きました。さらに見ていくと私が求めていた数多くのスピリチュアルがそこにはありました。それらの中でとても気に入った一作を紹介していきます。

『10の最大物、グループⅣ、No.3、青年期』という作品です。このシリーズは人の人生を4つの段階に分け、縦3メートル超の大きなカンバス10枚に渡って描いています。その中でも青年期にあたるこの作品は円や貝のモチーフを豊富な色彩で表現しているもので、これといった解釈があるわけではないのですがクリントの精神の片鱗を見た気がします。

この作品を始め、彼女の描く絵画には正解がなく、人によって理解の仕方が変わっていきます。明確な答えはなくとも自分の感じたものを描く。それが彼女が生涯を通して、貫き通したかったものだったのかもしれません。

photo & text by Kazuya

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Kazuya