待ちに待った映画がついにきました

1965年にネビュラ賞、1966年にヒューゴー賞を受賞し、『スター・ウォーズ』、『風の谷のナウシカ』にも影響を与えたと言われる、SF小説の金字塔ー『DUNE/デューン 砂の惑星』を見ました。

主人公ポール・アトレイデスとその父親レト公爵は、皇帝からの命を受けて砂漠の惑星アラキスへと移住します。そこでは貴重なスパイス「メランジ」が産出されていて、それまではアトレイデス家の宿敵ハルコンネン家が治めていました。ですが、この移住の裏には大きな陰謀が隠されていました。

映像と音響が降り注ぐ、独特なSF映画に魅了されました。ヴィルヌーヴが監督したこれまでのSF映画は、この作品のための経験として作られた気さえします。物語は、表面的にはアトレイデス家とハルコンネン家による宇宙戦争のエンタメに見えますが深層的には主人公のこころの奥を探り、精神修養を積み重ねていく過程に思えます。

主人公ポール・アトレイデスは夢のお告げを自らの運命と受け止め、戦いで生じる多くの軍人の死、父親の死を乗り越えていきます。ポール役のティモシー・シャラメは聡明で芯が強く見え、美しさが際立ちます。『ベニスに死す』のビョルン・アンドレセンを思い出しました。美しさで言うと、全編をいろどる「砂漠の風景」は格別に感じます。

photo&text by BEN