ディズニー映画特集

「これ好きなんだよね。」そんなひと言から始まる映画の話には、その人らしさが詰まっています。この特集ではさまざまな視点でおすすめしたい映画をセレクト。ジャンルも気分もバラバラだからこそ、きっとあなたの心に引っかかる映画が見つかるはず。次に観る映画のヒントにしてみてください。

【10 Things I Hate About You / 1999】

1990年代のアメリカの高校を舞台にしたラブコメディ。恋に興味ゼロな強気な姉と、恋をしてみたい妹。無愛想で距離を取る彼女と、報酬目的で近づいたはずのパトリック。そこにちょっとした作戦が仕掛けられ、思わぬ恋の連鎖が始まる。軽やかなユーモアとドキッとする瞬間が散りばめられており、見終わったあと、ふわっと甘酸っぱい気持ちに。90sファッションや音楽もあわせて楽しめる、キュートで少し特別な1本。

 

【JUNO / 2008】

16歳のジュノは、軽い気持ちの一夜から妊娠してしまう。動揺しながらも、彼女は自分で決断し、生まれてくる子どもの養子縁組を考え始める。道中で出会うのは、どこか不完全な大人たち。深刻になりすぎない語り口の中で、「選ぶこと」と「責任」を淡々と描いていく。強くも弱くもない、等身大の視点が印象に残る作品。実は、アーティストのサブリナ・カーペンターがこの映画を引用した曲があるほど、注目度の高い1本。

 

【The Fault in Our Stars / 2014】

がんの闘病中のヘイゼルは、患者同士の集まりでオーガスタスと出会う。同じ不安や痛みを抱えながら、ふたりは無理のない距離感で言葉を交わし、少しずつ互いの存在に慣れていく。会話の途中で生まれる沈黙や、並んで歩く時間、何気ない冗談。限られた時間を意識しながら過ごす日々は、当たり前だった風景を、少し違った輪郭で浮かび上がらせる。観終わったあとに残るのは、悲しさよりも、誰かと時間を共有することの重み。静かに心に残るラブストーリー。

 

【Camp Rock / 2008】

音楽サマーキャンプに参加したミッチーは、歌うことが好きでも、自分に自信が持てずにいる。周囲の才能に圧倒されながら、彼女は自分の居場所を探していく。キャンプで出会う仲間や、音楽を通して生まれる関係。すれ違いや迷いを重ねながら、ミッチーは少しずつ、自分の声と向き合っていく。この映画が描くのは、好きなものを好きだと言うことの難しさ。観終わったあと、自分の「好き」を思い出させてくれる1本。

 

思考揺さぶる映画特集

【万引き家族/2018】

血のつながりを超えた”家族”の形を静かに問いかける「万引き家族」。ささやかな幸せと社会の冷たさが交錯し、本当の居場所とは何かを考えさせられる。是枝裕和監督の真骨頂と言える一作。

 

【マザー/2020】

母と子の歪んだ共依存を通して、愛の名のもとに生まれる暴力を描いた映画「マザー」。長澤まさみの鬼気迫る演技が、逃れられない関係性の恐ろしさを生々しく浮かび上がらせ、観る者に重い余韻を残す。

 

【ミッドサマー/2019】

白夜の祝祭が不穏な狂気へと変貌する。鮮やかな映像美とは裏腹に、共同体の価値観が個人を飲み込む恐怖を描く。観るほどに心がざわつき、後を引く異色の体験型ホラー。

 

おやすみ前のおすすめ映画

【リトルプリンス 星の王子さまと私/2015】

「問題は、大人になることじゃない。忘れることだ。」現実の世界で「大人になること」を急かされる少女が、隣に住む風変わりな飛行士との出会いをきっかけに、「子どものころの心」を思い圧していく物語。砂漠、星、思い出。なくしてしまったと思っていた「子どものころの心」は、実はまだ胸の奥にいて、ただ少し眠っていただけ。大切なものは目に見えない。分かっているけど忘れがちなことを思い出させてくれる優しい映画。あたたかな色のアニメーションに包まれて、夢の入口で見るのにぴったりな1本。

 

映画とファッション

【ノッティングヒルの恋人/1999】

ロンドンのノッティングヒルを舞台に偶然の出会いから始まるハリウッド女優と平凡な店員の恋。ユーモアと優しさに包まれたロマンティック・コメディ。
-Anna Scott-クラシックなライダースにベレー帽を合わせ、程よい外しを加えたスタイリング。気取らないのに洗練されたバランスが魅力。

 

【プラダを着た悪魔/2006】

NYのファッション誌の世界に飛び込んだ新人女性が、カリスマ編集長のもとで成長していく。厳しい現実の中でキャリアと自分らしい生き方を描くヒューマンドラマ。
-Andrea Sachs-オフィスウェアを軸に帽子や大胆なコスチュームジュエリーをプラス。ナイジェルによって磨かれたラグジュアリーファッションが印象的。

 

【華麗なるギャツビー/2016】

1920年代のニューヨークを舞台に謎多き大富豪ギャツビーと彼が追い求める一途な愛を描く華やかなアメリカンドリームの虚像と現実を映し出す物語。
-Daisy Buchanan-プラダやミュウミュウが衣装デザインを手掛け、ティファニーのジュエリーで彩られた贅沢なルック。上流階級の華やかさと、彼女の繊細で儚い魅力を象徴する。

 

【ワイルド・スピードX2/2003】

ロサンゼルスのストリート・レースに燃える若者たちの友情、対立、そしてファミリーの絆を描く人気のカーアクション映画シリーズの第2作目。
-Suki-ビビットな色使いと肌見せが目立つポップでアグレッシブなスタイルは、シリーズ屈指のアイコニックなルック。

 

新進気鋭のインドネシア人映画監督

【Jatuh Cinta Seperti di Film-film(映画のような恋に落ちる) / 2023】

本作で描かれるバガスは、高校時代に想いを寄せていた友人ハナへの記憶を胸に、恋愛映画を生み出そうとする脚本家だ。長い年月を経て突然訪れたハナとの再会が彼の創作意欲に火をつけ、物語は動き出す。しかしハナは4ヶ月前に最愛の夫を失い、いまなお深い悲しみの中にいる。バガスはスクリーンに託した言葉と感情を通して、固く閉ざされた彼女の心にそっと寄り添い、新たな愛への扉を開こうとする。
レビュー:インドネシア現代映画を代表する一本と称される本作は、モノクロームで統一された映像美がまず目を奪う。緻密に構成されたフレームの一つひとつが完璧なムードを捉え、静かな余韻を残す。真実味のある台詞は観る者の心に深く響き、登場人物の感情と自然に重なり合う。恋愛を新たな視点で描く独創性と、リアリズムとファンタジーの巧みな均衡が、物語を最後まで魅了し続ける。

 

【SORE: Istri dari Masa Depan (ソレ:未来からの妻) / 2025】

ジョナサンはクロアチアに暮らすインドネシア人写真家だ。喫煙を繰り返し、酒を欠かさず、睡眠も運動もおろそかにする、そんな不摂生な日々を送っている。ある朝、その単調な生活を破るように、ソレという名の女性が彼の寝室に現れる。彼女は自らを「未来から来たジョナサンの妻」だと名乗り、現実は静かに、しかし決定的に揺らぎ始める。
レビュー:もし愛が命を救うとじたことがあるなら、本作はその想いに静かに応えてくれる。『ソレ:未来からの妻』は、時空を超えて紡がれる甘美で心打つロマンスだ。シンプルな三幕構成と軽やかな魔法的リアリズムの中で、ソレとの出会いがジョナサンの生活を変えていく。タバコを手放し、朝のランニングを始める彼の姿が語るのは、警告よりも愛のほうが人を動かすという、ささやかで力強い真実である。

 

アマプラ×カルチャー映画特集

【Mid90s/2018】

90年代アメリカの空気を、そのまま切り取ったような作品。スケートを中心に広がる仲間たちの関係性や、少しずつ変わっていく距離感が生々しく映る。大人でも子どもでもない時期特有の不安定さと自由さが、ざらついた映像と重なって心に残り、観ているうちに、いつの間にかその輪の中にいるような感覚になる。

 

【Sound of Metal/2019】

音楽を生活の中心に据えてきた主人公が、突然「聞こえない」という現実と向き合う物語。一見カルチャー映画の枠から外れているようで、音が消える体験を通して、世界の捉え方そのものが揺らいでいく過程が丁寧に描かれている。 音が当たり前にあった日常から切り離されたとき、人は何を拠り所に生きるのか。その心の動きが驚くほど静かに、そしてリアルに伝わってくる1本。