おだやかな海になれたら
学校での生活が2年目になりました。
高校時代を1人で過ごしてきた私ですが、今では側にいてくれる人がいます。心の隅々までを理解し合えるわけではないけれど、自分のことをしっかりと理解しようとしてくれる、対話を重ね、一緒に前を見ることができる人と出会ったことは、私の人生に起きた素晴らしい出来事です。
そんな人々との日々を過ごしていると 「今のことをずっと覚えていたい」 そう思うことが増えました。ですが、頭の中でいくら覚えていようと思っていても、忘却は水に垂らした絵の具のように絶え間なく広がっていきます。
記憶力を上げたい! そう思った私は記憶力の良い動物について調べてみました。シカゴ大学の研究によると、イルカは人間以外の動物で1番の記憶力を持っており、20年ぶりに再会した仲間のことを覚えていたそうです。イルカの寿命は20年。寿命を超えるほどの記憶力を持つ理由は不明とのことです。
寿命を超えるほどの記憶力を持つ理由を私なりに考察するならば、それは寂しさを内包する祈りを持っているからだと思います。私たちの立つ大地よりも広く深い海において、きっと、誰かと出会うことは運命的であり、かけがえのないことだと想像ができます。
今日出会ったあなたとまたいつか出会うために、あなたを記憶する。それは祈りで、この地球で生まれる美しいものだと思います。
イルカのように、はぐれては出会い、あなたとともに海を泳ぐ。私の短いかもしれないこの先の人生で、イルカは私に秘密を教えてくれたような気がします。
今日出会えたかけがえのない人々との記憶。
きっと走馬灯に映るこの記憶を私は大切に持ち続けたいです。
photo & text by oti
神奈川県横浜市出身。冬が好き。寒さに興味をもっていて、北海道にもロシアにも南極にも行ってみたい。夏でもクーラーで部屋を冬に変え、分厚い布団をかぶって寝ている。人生においてできるだけ赤道から離れていたい。
oti
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