令和と昭和

フーテン。

1967年の夏頃に現れた20代前半の男女の和製ヒッピーと呼ばれる、汚れたTシャツにジーンズのパンタロンを履いたロン毛の若者。彼らは新宿駅東口のグリーンハウスで通行人をただ眺めたり、睡眠薬遊びをしたり、シンナー吸ったり、ゴーゴーを踊ったり、奇声をあげたりしていました。フーテンを知ったきっかけとして、バンドのフーテン族が好きで、彼らのルーツを辿ったら元である新宿フーテン族に行き着いたからでした。

フーテン族は2021年に結成されたバンド。ボーカルの山下大輝ギターの髙田勘吉ドラムの藤野真之介の3人は幼馴染で、もう1人のギター、小杉宗太郎は高円寺で現地調達。ベースの小野寺大輝は髙田勘吉の友だちで、他の4人のメンバーがスタジオ練習をしている所に、何故か泥酔して母親に号泣しながら感謝の電話をし、入ってきたことがきっかけでバンドのメンバー入りを果たしたのです。

王道のロックじゃないからこそ妖しく光るロックバンド。何回もライブに足を運んでいるのにいつ聴いても飽きない。是非聴いて欲しいバンドです。高円寺とか70sに興味がある人は好きなんじゃないかなぁ…

1960年代、1970年代のファッション、カルチャーは今でもひっそり続いていて、友だちのトドメ恭輔やGENちゃんがGS等のDJをしたり、トウキョウ・ア・ゴーゴーというイベントでゴーゴーを踊っていたり。またベルボトムが流行ったり。

昭和100年の今年、同じ20歳前後の若者でカルチャーとしてのフーテン族のこと、ゴーゴーのことを知っている人は数少ないと思うけど、このカルチャーは改めて廃れるべきではないと思うし、ファッションの前線に立っている文化服装学院生こそ、このカルチャーを守っていくべきなのでは、と感じます。

新宿は治安が悪い街だとか汚い街だとか言われていますが、この街は私の鬱屈を紛らわせてくれる最高な街だと思っています。大久保公園の立ちんぼ、しつこい客引き。いつも通りの新宿の風景が60年も経てば歴史となるのだと思うと、「私は今カルチャーの中で息をしてるんだ…」と思えました。

photo & text by るーな

音楽とファッションの中毒者。日本のカルチャーに興味がある。最低月に1回ライブハウスに行かなければ悶え苦しむ体。人間臭い人が好き。狐顔で職人気質なロックン・ロール男はさらに好き。
Instagram:@ru_luna1219

るーな