なかにし礼という作詞家

今回は「純愛」/ザ・テンプターズを紹介していこうと思います。

ザ・テンプターズとは1967年にデビューしたバンドで、グループ・サウンズ(以下GS)最盛期を支えた素晴らしいバンドです。テンプターズはエメラルドの伝説や忘れ得ぬ君が有名だと思うのですが、私が特におすすめしたいのが「純愛」です。この曲は1969年にリリースされました。この曲の素晴らしく愛すべきところと言えば、それはなかにし礼の「歌詞」であります。GSとは暑苦しくて重くて噎せるほど重い愛など、今で言うメンヘラな歌詞が多く見られます。(なかにし礼の作詞の事が多いです笑)現代では女の子のメンヘラ曲が定番ですが、昭和は男がめちゃくちゃメンヘラなのです。逆に昭和の女の子は強く、あばずれているように思えます。

さて歌詞ですが、Aメロ初っ端の「どうしてわかってくれないの」から始まり、既に激重い愛が見受けられますが、注目すべきはやはりサビです。

「腕に傷をつけて腕と腕を重ね若い愛の血潮分かちあった恋は誰も誰もこわせはしない花よりきれいな君だから清らかなままで結ばれたい」

重すぎる。重すぎる昭和男。リスカを自傷行為としてではなく、血で結ばれる為に行う。気持ち悪すぎる。私は思わず感動しました。愛の血潮を分かちあった、ということは男側だけでなく女の子側の腕にも傷がついているということでは無いでしょうか。お互いの血を塗り混み合うだなんてドン引きです。しかもそれを清らかだと言うのです。バイオテロだと思います。

ただ、この清らかとは処女性なのかもしれないですし、想いが本物の愛だという事の誠実さなのかは定かではないです。こんなバイオレンスでヒステリックでメンヘラな歌詞を歌っておいて「純愛」というタイトル。素晴らしい、素晴らしいです。なかにし礼の作詞はザ・テンプターズだけでなく、ザ・ゴールデン・カップスや沢田研二のいたザ・タイガースの曲にも使われています。これを機にみなさまも是非グループ・サウンズを楽しんでみてはいかがでしょうか!!

photo & text by るーな

グループ・サウンズというジャンルにハマり、橋本淳や阿久悠などの作詞家に影響を受け、特になかにし礼の作詞が好きすぎたあまりに、友人と架空のバンドを結成しデビュー曲、「どうか行かないで」を作り、作詞を担当した。たちばな渚という名義で作詞している。
Instagram:@ru_luna1219

るーな