だって今しかできないから!

休学中の頃、私は歌舞伎町で夜勤のアルバイトをしていた。昼と夜が逆転した生活。街が眠る頃に働き始め、空が白み始める頃に仕事を終える。最初は慣れない生活リズムに戸惑ったけれど、今振り返ると、その時間の中には特別な楽しみがあった。

それは、夜勤明けに友人たちと食べる朝ご飯。

仕事を終えて店を出ると、歌舞伎町のネオンはまだ輝いているのに、空には朝の気配が混じり始めている。少し疲れた体を引きずりながら、「今日どこ行く?」と話し合う時間からすでに楽しい。向かう先は、ラーメン屋だったり、24時間営業の居酒屋だったりする。特別高価な料理ではない。むしろ、どこにでもあるような一杯のラーメンや定食だ。それなのに、そのご飯はなぜか驚くほどおいしい。

空腹だから、という理由だけではなかったと思う。同じ時間に働き、同じように眠気と戦いながら朝を迎えた仲間たちと食卓を囲むことで、その料理には特別な味が加わる。仕事中にあった出来事を笑いながら話したり、将来のことを語ったり、ときには何気ない会話をしたり。そんな時間ごと味わっているからこそ、おいしく感じるのだと思う。

食べ物のおいしさは、味だけで決まるものではない。誰と食べるのか、どんな時間を過ごした後なのか。その背景が、料理の記憶を何倍にも豊かにしてくれる。私にとって夜勤明けのご飯は、単なる食事ではなく、一晩頑張った自分へのご褒美だった。そして、同じ時間を共有した仲間とのつながりを実感できる時間でもあった。世の中には豪華な料理や有名店がたくさんあるけれど、人生で一番おいしかった食事を聞かれたら、私はきっと歌舞伎町の夜明け前後に友人たちと食べたラーメンや居酒屋のご飯を思い出す。

眠気で重たくなった体、朝焼けに染まり始める街並み、そして目の前に置かれた湯気の立つ一杯。あの瞬間の「いただきます」には、どんなごちそうにも代えがたい幸福が詰まっていた。あぁ、夜勤生活も悪くなかったな。

photo & text by TOHKO

派手な髪色と、個性的なネイルと、バンギャと間違われるメイクアップをしているくせに、「ただ派手なだけの真面目っ子」と言われて、嬉しいような悔しいような。来世は、蜷川実花の生み出す世界観で生きられたらいいな。
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瞳子(TOHKO)