“RavChav” 名前の意味は『愛とキラキラ』。 文化服装学院 ファッション流通科2年 リテールプランニングコースの学生が運営するブランド。  “ファッション×アート”というコンセプトのもと、自分たちの考える“カッコいいもの”を同じようなユースカルチャーが好きな若者たちに届けることを目的としている。

10周年を迎え、3年ぶりの実店舗開催を追いかける記事として、このブランドの密着を行いました。他では見られないRE・TENTの裏側を掲載しています。最後までお読みいただけると幸いです。

RavChav

[site]https://ravchav.base.shop/ 11月15日まで販売中

[Instagram]https://www.instagram.com/ravchav_tokyo/

RE・TENTはリテールプランニングコースの学生たちが、自分たちでブランドを立ち上げ、運営をしていくプロジェクト。我々ファッションプロモーションコースは、この一大プロジェクトの密着取材を行なった。

全部で14ブランドという、数あるブランドの中から我々が取材するブランドは“RavChav”。彼らの熱意あるプレゼンと、グループメンバーの“個”を大切にするというブランドの姿勢、そして何よりも商品やメンバーたちの独特な魅力に惹かれ、取材をすることが決まった。

9月

9月某日、厳しい残暑の中、新宿にある白ホリスタジオでホームページ掲載用ルックの撮影が行われた。クラブミュージックが流れる中、店長のカイトを中心とし、楽しく、そして真剣に撮影は進んでいった。

取材の中でカイトは何度も「自分たちの思うカッコいいものを届けたい」と話していた。そんな自分たちのぶれない姿勢を表すように、今回のスタジオ撮影はモデル以外RavChavメンバーで撮影班が構成されており、スタイリングに使う服はすべて、メンバーの私物である。

理屈っぽく言葉で説明したり、流行をただ追いかけたりするのではなく、普段からユースカルチャーを肌で感じて生きている彼らのセンスから生み出される商品やブランドの世界観が、“純粋にカッコいい”と我々に思わせるのかもしれない。きっとこれが、我々がRavChavに対して最初に感じた魅力の答えなのだろう。

10月

10月に入り、リテールプランニングコース全体の動きも山場となり追い込みの日々がはじまった。文化祭POP UP SHOPの本番に向けた多くの準備に追われながらも自分たちのクリエイティブに一切の妥協をせずに、チーム一丸となって取り組んでいた。

10月3日

全14ブランドが集まり、それぞれのチームの現状を発表する報告会が行われた。RavChavの最大の魅力は、感覚的にわかる“カッコよさ”であると、これまでの密着を通じて感じていた。それは彼らのフィロソフィーとしてはっきりと示されているものであるが、ショップを運営していく上では具体的なマーケティングや、マネタイズプランも必須となってくる。

報告会ではホームページの解説やSNS分析を通し、自分たちのクリエイティブを言語化し、理論的に説明が行われており、プロとして責任を持ちRE・TENTに参加している彼らの意識を強く認識することができた。

10月12日

文化服装学院のロビー階にて、取り扱いアイテムや、ブランドの世界観を表現した展示が始まった。自分たちで作成した布をバックに、タトゥーアーティストのtejiとのコラボアイテムを並べ、モニターには夏休み中に山梨県の自然の中で撮影した動画が流れる。どれもRavChavというブランドの世界観が色濃く表れたものとなっている。

中でも動画のバックミュージックはブランドのために自分たちで1から作ったもので、 “ファッション×アート”という彼らのブランドコンセプトに即した展示となっている。

動画などはRavChavのインスタグラムで視聴することができるため、ぜひURLからチェックしてほしい。

10月も終盤、文化祭を間近に控えたリテールプランニングコースの教室は慌ただしい雰囲気に包まれていた。POP UP SHOPに向けた在庫のチェックや、商品陳列などのVMDの最終調整、タグの管理など、準備は大詰めに入っていた。

RavChavもオンラインショップが本格的にオープンし、インスタグラムの定期的な更新などでプロモーションをかけていた。

メンバーに文化祭当日に向けた意気込みを聞いた。「授業の一環で行われていることなので、準備の初期段階ではモチベーションを保つことができなかったこともしばしばあった。しかし、アーティストとコラボをしたり、実際に業者に商品の発注をしたりする中で、プロ意識を持つようになってきた」という。「RavChavのメンバー以外にも多くの人と関わり、ブランドとしての活動を進めてきた今では、単に人の学生としてではなく、アパレル業界の一員としての意識をもって当日に臨みたい」と心境を語ってくれた。

金銭のやり取りが実際に行われるということで責任は大きくなるため、プレッシャーも少なからず感じているはずだが、自分の置かれた立場を鑑みたうえで、とるべき姿勢というものをはっきりとさせている彼らに、密着当初に感じたものとは、また少し違う“カッコよさ”を感じた。

文化祭当日

11月3日

文化の日。気持ちのいい秋晴れの中、とうとう文化祭当日を迎えた。RavChavの取材をするために、RE・TENTに向かうと、多くの人が集まり、長蛇の列が作られていた。

14ブランドのアイテムがすべて並ぶ中、多くの人々がRavChavのアイテムの前で足を止め、手に取っていた。販売員を務めたメンバーに話を聞くと、「文化服装学院の学生を中心に、若い層からの人気が高い」という。

オンラインショップでの販売は文化祭が始まる以前から行われていたが、「インスタグラムを見て、ファンとして実際に足を運んでくれたお客様など、数多くの方と交流ができて本当に嬉しかった」と語ってくれた。

密着を通じてRavChavのこれまでの活動を間近で見ていた我々取材班も、お客様と楽しげに会話をするメンバーの姿を見て胸がいっぱいになった。

あっという間に文化祭も最終日を迎え、RE・TENTでのPOP UP SHOPは終了した。最後にメンバーに話を聞くと、「本当に心からの感謝と喜びの気持ちでいっぱいだ」と話してくれた。「ありがとう」「本当に幸せ」と何度も繰り返す彼らの言葉は、愛に溢れ、その笑顔はキラキラと輝いて見えた。

“すべての人に愛とキラキラを届ける”という彼らの願いはきっと叶ったはずだ。

UNDERCOVER のデザイナー 高橋盾と、現在KENZOのアーティスティックディレクターを務めるNIGO®。文化服装学院卒業生の2人が、かつてアパレルショップ NOWHEREを運営していたように、未来のファッション業界を担うスターが今回のRE・TENTのブランドの中から生まれるかもしれません。今回密着をさせていただいたブランドのみならず、RE・TENTを盛り上げてくれた、すべてのブランドのメンバーたちに、同じ文化服装学院の学生の1人として、そしてファッションを愛する1人の人間として、期待と応援の気持ちを送ります。

RavChavの店長カイトは、文化祭をゴールとせず、これからもいろいろな活動を計画しているそうです。きっとまた僕らにカッコいい世界を見せてくれるはず。

text&photo by 都築 由・中村 福時

終わりに