文化生といえば入学式や文化祭の来場者スナップも注目される機会のひとつ。文化服装学院を卒業した今もなお、ファッショニスタとして名だたる業界誌から注目を浴び続けるレインボーシェイクのプレス、中島さくらさんにお話を伺ってきました。
2023年10月にオープンしたばかりの話題のセレクトショップ “CARV STORE”にて独占インタビュー! マルチに仕事をこなすさくらさんの活躍の秘訣とは?

 

文化服装学院でのつながりが今に活きている

Q.自己紹介をお願いします。

A.中島 さくら、24歳です。 文化服装学院ファッション流通科スタイリストコースを卒業後、ファッションディレクター専攻(現:流通専攻科)に進学しました。 入学して1年目の夏から RRR というブランドでアルバイトをしていました。 文化祭ではプレスの係をしていて、考えたことが形になった時にとてもやりがいを感じましたね。 その後、社会人になってレインボーシェイクでもプレスを志望しました。

Q.さくらさんのお仕事について教えてください。

A.私はプレスという仕事をしています。スタイリストへのリース対応やアポイントをとったり、雑誌のクリッピング、打ち出したいアイテムを掲載してもらえるようタイアップの仕掛けを打つなどです。ブランドについて知ってもらうために幅広い仕事に関わるのが特徴ですね! そのためには展示会やイベントのような現場に向かう仕事だけじゃなく、事務作業も必要になってくるので、プレスは2面性がある仕事なんです。今は2:8の割合で事務作業をしていると思います(笑) 

スタイリストへ洋服を貸し出すリース業務では、求めているものに対応できるようにコミュニケーションをとり、ブランドとメディアの架け橋になれるように意識しています。仕事をやっていくうちに、ひとりひとりのスタイリストの好みがわかってくるので、その方が来るときのために「このアイテムはとっておこう」と考えたり、リースしたものをなるべく掲載してもらいたいので、サンプルを揃えたり、新作をお勧めするなど相手に合わせて考えながらアイテムをご案内しています。

Q.学生時代はファッションディレクター専攻に進学したとお聞きしましたが、進学を決めた理由は何ですか?

A.2年生の文化祭でプレス係をした際に、招待客のアテンドやSNSの運営が楽しくて「専攻科に進んでもう少しプレスに関して学びたい!」と思ったのが1番の理由です。 専攻科では、ファッションフェスティバルの運営や卒業制作ショーがあったり。自分たちで試行錯誤しながら活動することができるので、実践的な活動ができる環境だなと感じました。これも進学した理由のひとつですね。

Q.専攻科に進学して専念していたことはありますか?

A.学業と並行して、アパレルでアルバイトしたいなと思っていたので、入学してすぐにレインボーシェイクのショップ販売員としてアルバイトを始めました。お客様への接客・販売施作・新作のMDミーティングなど、アルバイトの時から経験していたため、授業で学んだことを店頭で活かせたのは大きかったです。「このお店の販売員」と印象をつけられたことで人脈も広がりましたし、SNSのフォロワーも伸ばすことができたので、学業に並行してアパレルに携わるのはとても大切なことだと身をもって感じましたね。

Q.学生時代、挫折しそうになったことはありますか?

A.自主企画のイベントを行った時に、それに集中しすぎて、授業の課題が溜まりに溜まってしまい、全てを投げ出したい! と思ったことはあります。(笑) それと、ジャケット制作の授業で裏地の手縫いをしたときは、手間も時間もかかったし、不器用な自分にとっては本当にしんどかったので辞めたくなりましたね。(笑) 

 

こだわりをつめ込んだセレクトショップ、CARV STORE

Q.CARV STOREについて教えてください。 

A.CARV STOREは曲げる、捻る、歪むなどの”曲線”をテーマにしたセレクトショップです。「 フリーハンドの曲線には二度と同じものが描けない美しさがある」それをひとつの個性としてコンセプトに落とし込んでいます。 他のお店にはない、唯一無二の個性が詰まった空間にできるようにこだわりました。

例えば、店内の什器はショップのテーマである曲線を意識しているんですよ…! アートを飾ったり、ワイヤーをラックとして使うことで商品を掛けた時の歪みでカーブを表現したり、店内のいろいろなところに曲線を忍ばせています。 曲線の個性や美しさを大切にして、全てオリジナルの什器でレイアウトをしました。

曲線を意識したワイヤーラック

こんなにもこだわりが詰まっているんですけど、実はセレクトショップを作りたい!と社長が言ってから1年間でできたお店なんです。お店を立ち上げるための準備もすごく大変で、プレオープンの1週間前までお店が段ボールの山で溢れかえっていました(笑) 頭がパンクするくらい忙しくて不安もあったけど、自分たちが思い描くショップを立ち上げられるというワクワクが大きくて、苦になることは一度もなかったですね。 

オープン前から投稿しているInstagramも力を入れていて、着画や物撮り、シチュエーションも豊かに掲載しているので、まだお店にいらしていない方にもぜひ見て楽しんでいただきたいです。1月17日からオンラインストアもスタートしているのでそこから興味を持った方のご来店もお待ちしております!  今後も口コミから認知が広まって、気になった人が来てくれたら嬉しいなと思います。

Q.CARV STOREの商品について教えてください。 

SNSやネット上で見つけたブランドには資料を送ってアプローチしてやりとりをしたり、海外ブランドとはオンライン展示会や日本のショールームを通してバイイングまでつなげました。人対人のやり取りになるので、プレスやバイヤーはコミュニケーション力が本当に大事なんだと実感しましたね。

ブランドから頂いたノベルティ

プレゼン力やトーク力が大切なのはもちろんですが、取り扱うブランドそれぞれにもブランディングがあるので、このお店なら自分たちの商品を置いて欲しいなって思ってもらうためのアプローチを大切にしています。 バイヤーのkieさんとかもコミュニケーション能力がすごく高くて、しかも日本語、英語、フランス語が話せるんです。kieさんがいたからここまで海外のブランドを集められたし、海外のお客様も多くいらっしゃるので語学の大切さを痛感しています。

実は以前社長たちが出張で行ったコペンハーゲンに、バイヤーとPR担当と一緒にわたしも今月末行くことになったのでとても楽しみです。海外には結構目を向けていて、オンラインでショーを見た時からすごく刺激を受けていました。現在CARV STOREではコペンハーゲン発のブランドは2つ取り扱いがあるんですけど、実際にショーを直接見られるとなるとわくわくが止まりません…! 

ブランドでいうと「アンナキキ」がアツいですね。ミラノのブランドなんですけどデザイナーが中国人の方で結構イカしたデザインというか、近未来的なデザインが多数! モノトーンやメタリック、スパンコールがメインで、色ものはあんまりないんですけど、シルエットとか生地感とかデザインがすごくカッコよくて…そしてなにより日本で取り扱いショップはここだけなんです!  

結構ここしかないみたいなアイテムを多く置いているのでCARV STOREでしか買えないものがあるっていう認識を広げていきたいです。まだ世に出ていないけどCARV STOREが引っ張り出してここで有名になった! っていうのが増えていったら嬉しいですね

プレス、そしてインフルエンサーとしての自分自身

Q.ご自身のSNSなどで意識していることは何かありますか?

A.フィード全体のバランスを大切にしています。 寄り画角の写真を載せたら、次は全身のコーディネートを載せたり、 余白がある投稿にしたり…。全体で見た時に、ごちゃごちゃにならないようフィードの統一感を出せるように意識しています。あとは毎日ストーリーを更新したり、いただいたDMは全て返信したりなど、エンゲージをなるべく落とさないようにしています。

Q.今後のご自身の展望について教えてください。

A.うーん…。私自身、しっかりプレスという役職になってから1年も経っていないので、プレス以外の他の職に興味があるというよりはプレスという職にこれからも注力していきたいです。 まだまだ未熟なので….。もともと古着がとても好きなので、ロンドンの古着屋さんとかパリ、コペンハーゲンにも行ってみたいな…。社長もロンドン留学へ行ったことがあるみたいです。本当は学校を創立させるために3年前にロンドンへ行こうとしてたみたいで。最近の社長の思考はパリとコペンハーゲンになっていてその2カ国に注目してるみたいですよ。私もいつか行ってみたいですね。

Q.学生時代にやるべきことを在校生に向けてお願いします。

A.どれだけ学生の時にたくさんの人と仲良くなれるかが大切だと思います。他にも行事ごとに積極的に参加することだったり、違う学科の人や先生と仲良くなることだったり。 学生時代に、とあるブランドの外部講師の方が来てくださった時に、自分をPRするために積極的にコミュニケーションを取りにいってました。

そこから展示会に呼んでくださるようになったり、その場でも自分をPRするようにして名刺とか作ってました。 電話番号やInstagramアカウントを載せたりして。いま思うとかなり学生クオリティなんですけどね…(笑)  きっとそれも学生だから許されるので、間違ってても大丈夫! 学生のうちにできることはやっておこう、という精神でした。本当に人脈命、です。

 学生時代に築いた他学科のつながりから、プレスをしていく上での仕事仲間として今でも関わりがあったり、卒業後周りの友達がどうなってるのか分からないからこそ、いろいろな人と関わるのは本当に大切なことだと思います。

お忙しい中、お話を聞かせていただきありがとうございました! 普段聞くことのできない業界の話やさくらさんの学生時代について詳しく教えていただき貴重な時間となりました。

さくらさんのファッションセンスはもちろんですが、マルチにお仕事をされている姿、やり切る力に魅力を感じてファンになる人も多いんだろうな、と改めて実感しました。また、幅広い領域に自らアプローチすることの大切さは、同じ科の先輩だからこそ、メンバーにとっても大きな気づきとなりました。いただいたメッセージを心に留めて、今後に活かしていきたいと思います。

今回伺ったCARV STOREの店内も、お話を聞けば聞くほど奥が深く、「曲線」というテーマから離れることなく、唯一無二の世界観が展開されていて、本当に素敵な空間でした。さくらさんやレインボーシェイクのみなさまのこだわりを間近に感じることができる贅沢な空間でインタビューさせていただき、ありがとうございました! 

(prop編集部・03)

Editor’s note/prop編集部より。