温かみの正体

皆さま、こんにちは。巷では人肌恋しくなる季節と囁かれておりますが、こんな季節だからこそ聴きたくなるホッと温かいエピソードはいかがでしょう。

上京前の冬。寒さの訪れを感じ始めた物寂しい雰囲気の部屋に癒しが欲しいと思っていた私はある頃から少しずつぬいぐるみの魅力に取り憑かれていきます。きっかけはハンドメイドマーケットアプリで一目惚れした、表情がヘンテコなくまと猫のぬいぐるみ。大好きな一点もの、なおかつ私にとって久しぶりの買い物ということもあり密かに想いが芽生えていたぬいぐる収集癖にスイッチが入ったのです。

新たな土地へ踏み込んだ春。慣れるまでに時間はかかりましたが、コロナ禍で色が薄れてしまっていた楽しい日常を少しでも思い出させてくれる存在がありました。その一つが「雑貨屋」です。いつものように気になる場所を探索していたある日。私は衝撃的な再会を果たすことになります。ふらっと立ち寄った店内で、目に入った “あるもの” が私の足を止めました。それは以前母が雑貨屋で一目惚れし、家にお出迎えしたあの子。そう、あの子だったのです。もうこんな出逢いは後にも先にもきっとないと確信した私は、すぐさま仲間の子たちを家に連れて帰りました。大事に抱えながら歩いた帰り道で涙腺が少しだけ緩んだのを覚えています。

上京し一年半経った今。そんな彼らとともに過ごすこの季節は私にとって、とても愛おしく大切な日々の一部になっています。

photo&text by FPの母