インスタレーションにて

この写真は、YOSHIROTTEN氏の大型インスタレーション。約5000人が来場しました。新国立競技場・駐車場で行われたこの展覧会は圧倒的でした。

国立競技場の大型駐車場。ちょっと特殊な雰囲気がありましたが、そもそもどういう場所なのか。本来は中継車とか大型車が止まっていたりして、入れない場所なんです。今回のインスタレーションで初めて一般に公開されました。初めてここを見たときに、作り込まれてないというか、外とすぐつながってるっていうか、自然光も入ってくるけど屋根もあって、凄く良い環境だなと直感しました。

「こんな環境、都内で見つかるんだ!」と驚きました。できたばかりでクリーンでしたが、駐車場の無骨な感じのバランスも良かったです。

巨大LEDスクリーンを用いた何台ものディスプレイが立ち並ぶ光景は、もはや無機質な駐車場との関係性を良い意味でぶっ壊していると感じ、ふと大きなディスプレイの「裏側」はどうなっているのか気になりました。

太い配線で敷き詰められた裏側の構造体は、なんとも言えない奇妙なものでした。この構造体は本来隠れるべきものなのか、出てきて良いものなのか。

この展覧会で、美しいという思いだけでなく気づかなかったり、目立たなかったり、知らなかったり、見えなかったりする部分と私の疑問に結び付きました。

今回のこの「疑問」は解決する必要のない、一種の探究心だと思います。皆さんも「裏側」を見てみると何か発見があるかもしれません。

また初めて、コラムという人が行き交う場所での記事を作成し、自分の内なる問いが公共に触れる手応えを得ました。

photo & text by Soraru Enokigura。

東京都出身。個人の年間テーマは「探究」。美術館や展覧会に行き、普段目にすることの難しい感性に触れたい。今1番行きたい場所は、京都にある桂離宮庭園内の茶屋のひとつ、松琴亭。白チョークはやはり美味しそうに見える。

えのき