花を飾る日常
10月、ダリアがいちばん美しく咲く季節になりました。街の花屋には、赤やピンク、オレンジ、ボルドーなど、秋の深まりを感じさせる色の花々が並びます。大輪の花びらが幾重にも重なったダリアは、見ているだけで心をふっと温めてくれるような存在です。
私が花を飾るようになったのは、忙しい毎日の中で、少しでも季節を感じたかったからです。課題や予定に追われて過ぎていく時間の中で、部屋に一輪の花があるだけで、気持ちの流れがやわらかくなることに気づきました。花を選ぶ時間や、花瓶に水を注ぐ動作が、自分の心を整える静かな習慣になっています。
ダリアは、飾るだけでその場の空気を明るくしてくれる花です。朝の光の中で花弁がきらめく様子や、夕方のやわらかな光を受けて少し落ち着いた色に見える瞬間など、同じ花でも一日の中で表情が変わるのが魅力です。見つめているうちに、ふと深呼吸したくなるような、そんな穏やかな時間が流れます。
花を飾るという行為は、誰かに見せるためではなく、自分のための時間を作ることだと思います。花の水を替えながら、その日感じたことを少し振り返る。そんな小さな習慣が、暮らしの中に穏やかなリズムを生んでくれ、忙しさに追われるときほど、花の存在が日常の中の”間”を作ってくれるような気がします。
10月のダリアは、力強く咲きながらもどこか繊細で、秋の空気によく似合います。季節が移ろうその一瞬を、花とともに過ごすことで、日常が少し暖かくなる気がします。
今日もまた、花を飾る。それは、忙しい日々の中で、自分をやさしく取り戻すための小さな儀式です。
photo & text by Kazuya
絵画。彫刻。建築。工芸。散歩。カフェ。音楽。映画。猫。犬。歴史。花。食事。コーヒー。文房具。機械。 PC。漫画。ゲーム。アニメ。いろいろなものに興味を持ち、いろいろなものが好きな男の子。毎日、新しい“好き”に出会えるのが楽しくて、つい夢中になっていく。
Kazuya
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